鍵盤になりたくて



言いたい事はたくさんあるのに、噛んでしまった恥ずかしさから頭は真っ白で何も出てこない。


受け取って下さいも言わないまま花束を差し出した私に。





「俺に?」





要さんはそう聞いてきて、コクコクと頷いた。


――途端に軽くなる手。


それが物語っているのは要さんが受け取ってくれたという事。





「ありがとう」

「、いえっ」





受け取ってもらえたんだ。


ホッとするのも束の間。





「顔見てお礼が言いたい」





そんな声に身体が固まった。





「……」

「……」

「……」





ど、どうしたらいいのかな。


顔あげないといけないのは分かってるんだけど…



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