鍵盤になりたくて
大好きな要さんの指先に輝く物、左手薬指に輝くリングがある限り。
それに知ってる。
私が初めて要さんの演奏を聞いて一番好きだと言ったあの曲は、要さんが愛する奥さんの為に作ったという事も。
だから撫でてくれたんだよね?
奥さんに作った曲を好きと言った私に嬉しくなって。
要さんはこういう事をする人ではないって知ってる。
あの曲が好きな私に特別に撫でてくれたんだ。
要さんの表情を見てたらそんなのすぐに分かった。
笑っていたけどその笑みは私に向けたものではない、奥さんを浮かべてでた笑みだという事くらいすぐに。
それでも、ね?
私はすっごくすっごく嬉しいと思った。
夢だったから。
例え要さんが奥さんを思い浮かべ思わず私の頭を撫でてしまったとしても。