鍵盤になりたくて
01
友達に連れられて来た裏道に面してる小粋なバー。
そのバーはカウンター席とテーブル席、そして中央にドンッと置かれたグランドピアノ。
バーに入ってから他愛ない事を話したりして30分は経った頃だろうか。
スーツを着た男性がグランドピアノに近付いて、周りに一礼するとグランドピアノを弾くのか椅子に腰掛けた。
「ねえ、あの人って」
「ん?ああ、ここはああやってプロが弾くんだよ。一時間に一回だったかな」
へぇ〜。
私はカクテルを口に含みながら鍵盤に指を這わす、ピアノマンに視線を向けた。
どんな曲を弾くんだろう。
私は普段クラシックや楽器だけの曲は聞かない。
聞くのはJ−POPくらいで、だからこそ生で聞くピアノはどんな感じかドキドキしていた。