鍵盤になりたくて
マスターと仲良くなった私は要さんがいる日は必ずこのバーに来ていた。
もうそんな事を続けてから早3ヶ月。
その頃にはもう自覚していた。
これは恋だと。
私は心から要さんが…、要さんの指先を愛してしまったと。
「いつも?」
「いつもので」
「畏まりました」
カクテルの名前を伝えずに‘いつもの’で通ってしまう私。
あの日友達に連れられてきたけど今はずっと一人。
一人で要さんを見つめている。
J−POPしか聞かなかった私は要さんの虜になってからは、要さんの弾く曲の名前も、要さんが出したアルバムの曲も暗記してしまって。
音楽プレイヤーもスマホの着信音も要さん関係。
流石にここまできたら自分でしてる事が気持ち悪いと分かる。