精霊の謳姫
シン…と静まり返る宮内を、
ピシャンッと唸る雷鳴だけが
うるさい程に轟いた。
「……ひっ…!」
国王は慈悲深くあるべき瞳を、雨の叩く窓ガラスへ向け、魔導師さえもが身震いするような冷酷な表情で睨み据えた。
「逃げおったな、あの女…!
おい、リディアは無事なのだろうな…?」
「あ…は、はいっ…!!
クレア様がいない、と泣いておられます。」
国王はそれだけ聞くと、
安堵したように瞳を伏せ…
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