精霊の謳姫
天才魔導師
ーー時が経ち、
「見て見て!ノヴァ、サリー!」
リディアは14歳になっていた。
「庭園の花が咲いてるわ!」
あどけなさはまだ残るも、皆の期待通り、母親に似て美しい年相応の可憐な少女へと成長した。
眩い陽の光の下、艶やかな胡桃色の髪をなびかせながら、無邪気な笑顔で庭園を駆けるリディア。
その姿を、二人の従者が見つめている。
ミロス国の城自慢の庭園には、
見事に咲き誇った色取り取りの花が
春の訪れを告げていた。
「まぁ、本当ですわね。」
主の言葉に、咲きほこる花々を眩しげに見つめる女性、サリーは第五王女であるリディアお付きの魔導師である。
長い赤毛の三つ編みを横に流し、
フチのない眼鏡が彼女の知的な美しさ
を際立たせている。
そして、もう一人…