精霊の謳姫
「…うるさいな、見れば分かるよ。
たかが花ごときで、
ギャーギャー騒がないでくれる?」
鬱陶しいと言わんばかりに、
端正な顔歪めてリディアを嘲る(あざける)
少年、ノヴァ。
彼もまたサリーと同じく、リディアに
仕える魔導師の一人であり、史上最年少で王族に仕える魔導師として、神童とも謳われている。
容姿においてもなんら落ち度はなく、
色白な肌にサファイアの瞳、そして絹糸のようなサラサラとした金髪は、女性も羨む美しさだ。
左目を覆う眼帯さえ、彼のミステリアスな部分を特徴付けているようにも思える。
そんな非の打ち所がない天才少年の欠点を
あえて取り上げるとすれば…
「なっ…!
そ、そんなに騒いでないわ!」
「騒いでいたから言ってるんだろ。
そんなんだから、いつまでたっても
お子様なんだよ、リディア。」
…人形のような顔からは想像もつかないような、口の悪さだろうか。