精霊の謳姫
「ノヴァ…、」
突然口を開いたリディアを、
ノヴァは水面越しに見つめていた。
しかし一瞬の隙にリディアは緩んだノヴァの手から逃れ、意を決して噴水を背に彼と向き合った。
至近距離で、彼の青い瞳と視線が合う。
「ノヴァ。
騒いでしまって…それと、
馬鹿って言って、ごめんなさい…。」
「…っ!」
悲しげな表情で真摯に謝罪の言葉を告げるリディアに、
惑わされたのはノヴァの方で…
「っ…馬鹿じゃないの…!」
咄嗟に彼女から身を離して、目を逸らす。
血が上っていく感覚が手に取るように分かった。
いつもは毒づく口許を、隠すようにして顔を背ける。