精霊の謳姫
白銀の騎士
この日のリディアは、
朝から落ち着かない様子だった。
身なりも、動きやすいいつものドレス
ではなく、正装用のドレスで着飾って
いる。
「少し落ち着きなよ。
鬱陶しい。」
「だ、だって……!」
いつものノヴァの悪態もどこ吹く風。
顔を強張らせて、両手はドレスをしっかりと掴んでいる。
コンコン、とノックされる自室のドアにリディアの緊張はグッと高まった。
なぜなら今日は…。
「今日はリディア様の騎士の叙任式ですからね。
でも、そんなに緊張することはありませんわ。
同席するのは私達と国王陛下様、それから上級魔導師だけですから。
さぁ、参りましょう!」
そう言ってふふっと微笑むサリー。
そんな彼女に促され、
リディアはノヴァのエスコートで
国王のいる宮へと足を向けた。