精霊の謳姫
そんな二人の様子を微笑ましげに見ていたサリーは、付け足すように言葉を重ねた。
「リディア様の新しい騎士は
私達上級魔導師と、
国王陛下様とで決めたんですよ。」
「えぇっ!?
お父様も…?!」
リディアは、サリーが告げた思わぬ事実に目を丸くする。
普段からあまり顔は合わせないが、
まれに王宮の廊下をすれ違う時は
優しく微笑みかけてくれる、”国王様”。
リディアにとって血の繋がる家族は、
国王陛下ただ一人だと聞いている。
側にいることが叶わなくとも、
そうして微笑いかけてくれるだけで、
気にかけて貰えるだけで、
リディアは温かな気持ちになった。