精霊の謳姫


今はもう顔も思い出せない母が

恋しくないと言えば嘘になるけれど…



ノヴァやサリー、

それからお父様、

心優しい精霊達…


私には温かな”家族”がこんなにいる。

だから、少しも寂しくはない。




「きっとどんな悪い輩からも、
勇敢に守って下さりますよ。

リディア様は大切な、
ミロス王国の王女様ですから、ね。」


「ふふ、ありがとうサリー!」




幸せそうに華のような笑顔を浮かべるリディア。


しかし、そんな彼女の隣で…


二人を見つめる、影を宿した瞳には。




誰も気づきはしなかった…___。



< 27 / 74 >

この作品をシェア

pagetop