精霊の謳姫
今はもう顔も思い出せない母が
恋しくないと言えば嘘になるけれど…
ノヴァやサリー、
それからお父様、
心優しい精霊達…
私には温かな”家族”がこんなにいる。
だから、少しも寂しくはない。
「きっとどんな悪い輩からも、
勇敢に守って下さりますよ。
リディア様は大切な、
ミロス王国の王女様ですから、ね。」
「ふふ、ありがとうサリー!」
幸せそうに華のような笑顔を浮かべるリディア。
しかし、そんな彼女の隣で…
二人を見つめる、影を宿した瞳には。
誰も気づきはしなかった…___。