精霊の謳姫
「おかーさまっ?
みて、みてっ!
…これ、なぁーにー?」
無垢な笑顔で、なにもない空中を眩しそうに見つめ、手を伸ばす我が子を。
何度この手にかけようと思ったことか。
「……どうして…?」
よりにもよって。
何故。
死んでしまいたくなるような痛みを耐え
ぬいた末に、ようやく声を聞くことが、
顔を見ることが出来た我が子だ。
…愛しく思わないはずがない。
そう、愛している。
愛しているはずなのに…