精霊の謳姫
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数刻前。
『ここを出る?!い、今から…?』
夜も更けたミロス城の一室では、
未だ部屋の明かりが漏れていた。
普段ならもう消灯している時刻だ。
『だから、そう言ってるだろ。
一回で理解しなよ。あと声が大きい。』
唐突に切り出されたのは、想像もつかなかった突飛な内容で。
また誑かされているのでは、と疑ったりもしたのだが、アレンの介入でようやく真実だと知った。
夜分に賊紛いな拘束を受けたあげく、
妙な質問責めにあって何事かと思えば…
(成人の儀までダメだと諦めていたのに…!)
我慢を重ねた分、その反動は大きい。
時間もわきまえずにはしゃぎたい衝動に駆られたリディアだったが…
『五分後には出発するから、
今すぐ必要な荷物をまとめて。』
ノヴァの一言で、緩んでいた表情が凍りつく。
パカッと懐中時計を開いて時間を確認すると、従者であるはずの彼は唖然としている彼女に向けて、早くしなよと言い放った。
視線をずらすと、申し訳なさそうな顔をした騎士と目が合う。
そうして…
呆気にとられている暇もなく、
リディアは色々と糾したい気持ちを抑えながらも大急ぎで準備にとりかかることになった。
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数刻前。
『ここを出る?!い、今から…?』
夜も更けたミロス城の一室では、
未だ部屋の明かりが漏れていた。
普段ならもう消灯している時刻だ。
『だから、そう言ってるだろ。
一回で理解しなよ。あと声が大きい。』
唐突に切り出されたのは、想像もつかなかった突飛な内容で。
また誑かされているのでは、と疑ったりもしたのだが、アレンの介入でようやく真実だと知った。
夜分に賊紛いな拘束を受けたあげく、
妙な質問責めにあって何事かと思えば…
(成人の儀までダメだと諦めていたのに…!)
我慢を重ねた分、その反動は大きい。
時間もわきまえずにはしゃぎたい衝動に駆られたリディアだったが…
『五分後には出発するから、
今すぐ必要な荷物をまとめて。』
ノヴァの一言で、緩んでいた表情が凍りつく。
パカッと懐中時計を開いて時間を確認すると、従者であるはずの彼は唖然としている彼女に向けて、早くしなよと言い放った。
視線をずらすと、申し訳なさそうな顔をした騎士と目が合う。
そうして…
呆気にとられている暇もなく、
リディアは色々と糾したい気持ちを抑えながらも大急ぎで準備にとりかかることになった。