精霊の謳姫


秒単位遅れで身支度を整えたリディアの
荷物は、ノヴァの四次元ポケ○トのようなローブの裏に収納された。


…それも、手のひらサイズの瓶に入って。

魔法とはすごいもので、ノヴァが杖を掲げて何かを唱えるとあっという間に無色の精霊が集結し、彼女の荷物を小瓶の中に吸い込ませてしまった。


精霊をこのように使うことが出来るのは
魔導師ならではである。

魔法の発動には、魔法の法則に従った豊富な知識が必要不可欠となり、
それから指示の役割を果たす呪文を唱え、石を介して魔力を込めると精霊の力が具現化される仕組みになっている。

最もこれは簡単な魔法においての話であり、より高度な魔法を発動させるには術者自身の高い魔力が求められる。
加えて発動には儀式や術式、時には供物を要することもあるのだが…

代価を払う魔法は高いリスクと犠牲を伴う為、禁じ手とされているのが現状であった。



リディアの書斎に入ったノヴァは、本の積み上げられた小さな机をどかして、何もない床に石の付いた杖を向けた。


すると____、


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