愛しのご主人様
「いいな~。私も飼えたらいいんだけど……。マンションだからな~」
「そうなんですか~」
「あなたはいつもここで子犬を売ってるの?」
「いえ。いつもはペットショップの方で働いているのですが、たまにこうして、売れ残った子犬を集めて路上で飼い手を探してるんです」
「やっぱりちょっとでも、大きくなっちゃうと飼い手がなかなか見つからなくて……」
笑顔を向けながらも、少し残念そうな顔をする。
今日私は、いつもより気分がよかったので寄り道して帰宅しようとしていた。
通りかかる大きな広場。
夕方であるにも関わらず、人が賑わっていた。
そこでお店を広げようとしていた彼を見つけ、現在に至るのだった。