愛しのご主人様
「あっ!ちょっと、……」
抱き上げていた子犬が私の顔をペロペロと舐めてきた。
「ももり、やめろ」
そういって、私から子犬を離した。
「ももり……?」
「あ~。コイツの名前なんです。って言っても勝手に俺がつけたんですけど」
心臓がぴくりと跳ねた。
「私も、ももりって言うんです。桃に梨って書いて桃梨」
「そうなんですか!すごい偶然ですね。ちなみに俺はりょうすけです。涼しいに介で涼介です」
「別になんにも関連ないんですけどね~」
そう言って、彼はくしゃっと笑った。