愛しのご主人様
それから、私は仕事帰りに寄り道をするようになった。
あの大きな広場を通って。
可愛い子犬とじゃれて、彼とお話をする。
それが毎日の日課となっていた。
土日があったりすると会えなくて、しょんぼりする。
彼に会いたくて、会いたくて……
ふわりと笑う優しい笑顔
動物を扱う温かそうなその手
なんでも落ち着かせるような心地いい声。
それが私の心をくすぐる。
今日もあの場所へ。
彼はもう来ているだろうか?
向かう足取りが早くなる。
私が見つめる先には彼と子犬が一匹。
彼が私を見つけるとふわりと笑顔を向けた。