エターナル・フロンティア~前編~

 その結果、仲間内からは「恋愛に消極的」と、思われていた。現にソラもこのことを話してもらうまでは、知らなかったらしい。そして話をしてもらった後、爆笑が響き渡ったという。

「でも、女っていいよな」

 たとえ何回ふられようともカディオの思考はこれしか考えられないらしく、この調子で頑張ればいずれ縁ある女性と一緒になれるだろう。しかし、それがいつなのかはわからない。

 縁ある女性。

 縁というのは、何処かで繋がっているもの。恋愛を避けているソラにも必ず相手は存在するが、求めなければそれが寄り添うことはない。相手を堂々と求められるカディオは、ある意味で羨ましい。もし、ソラが……いや、能力者(ラタトクス)自身がそれを行った場合、周囲から批判される。

「俺は、尽くすぜ」

「うん。お前は、そのような感じだよ」

「だが、貢ぎはしない」

 一途というイメージがないカディオであるが、意外にそのような一面を持っている。もしカディオが好きだという女性と付き合うようになったら、相手は幸せ者だろう。暑苦しい部分もあるが、彼は優しい。それに相手を思い遣る心も持ち合わせており、最高の相手となる。

 だが、その感情は女性限定で同性には厳しいとされているが、ソラはそのように思ったことはない。逆にソラが強すぎ、良い関係を保っていても互いの力関係は明確に存在していた。

「で、気になったことがある」

「気にしなくていいぞ」

「何だよ、その返しは」

「いや、嫌な予感がして」

「それなら、言ってやる。オレに、アカデミーの場所を聞かなくてもよかったのではないかな。一度、行ったことがあったと思ったけどね。隠したって、無駄だよ。お前の行動は、把握済み」

 その言葉に、カディオは激しく動揺しだす。そう、カディオはイリアが通うアカデミーに行った経験を持つ。それもこっそりと一人で訪れ、どのような生徒が通っているか調査もしていた。

 それに迷子になりたくないという理由で、車にはカーナビを設置している。これを使用すれば、好きな場所へ向かうことが可能だ。そのことを思い出したソラは信号で止まった瞬間、カディオの横腹を殴っている。不意の攻撃にカディオは、呻き声を上げ悶絶してしまう。
< 125 / 580 >

この作品をシェア

pagetop