エターナル・フロンティア~前編~
未来は暗い。
また、思い通りに行かない。
だから、最後の最後まで彼女達の面倒を見ることはできない。それに卒業を控えた者は皆慌しく、そもそも手伝う余裕さえない。また彼女の父親は厳格そのもので、特に不正行為を嫌っている。よって娘が不正行為に手を貸していると知ったら、何と言われるかわかったものではない。
(今回だけは、手伝いません)
そう心の中で呟くと携帯電話を閉じると、シャトルの中の備え付けの時計で時刻を確認する。
五時――
時計は、現在向かっている場所の時刻を教えてくれる。この時間帯になってしまうと、レミエルは薄暗い。冬を迎えた、故郷の惑星(ほし)。日の傾きは早く、ぐずぐずしていると夜になってしまう。
(迎え、来てくれないよね)
発展している惑星とはいえ、夜道を女性が一人で歩くのは何かと危険だ。安全な惑星として有名であったが、暗い場所に行けばわからない。特に多くの人間が集まる場所は、特に危ない。だからこそ迎えに来てほしいと思うが、何も言わずに約束を破った手前頼み辛い。
時間に煩い父親に電話をしたら、何と言われるだろうか。予定より遅くなってしまうと伝えた時、機嫌が悪い声音をしていた。計画性がないと呆れられているだろうが、悪いのは少女ではない。しかしどのように説明したところで言い訳になってしまい、父親に言い訳は通じない。
(この歳で、門限が六時なんて……)
少女の年齢は、十九歳。友人達に比べたら、門限の時刻は早い。アカデミーの授業時間を考えると、講義が終わったと同時に帰宅しないといけないことになってしまう。講義の内容によっては門限を過ぎてしまう場合もあるので、こうなると少女が自由にできる時間はない。
無論友人達と遊ぶ時間は殆どなく、それに比例して彼女の交友関係は想像以上に狭い。だからあのような人物が友人となってしまい、散々な目に遭う。そのことを父親に話しても聞き入れてはくれず、アカデミーで研究を行っているのならそちらに集中しろと言い返されてしまう。
(でも……)
そのように言われても、年齢的に遊びたいと思うのが一般的な感覚。それでも父親が言っているように少女はアカデミーの中で授業の他に研究も行っているので、父親の言葉はある意味で正しい。それでも授業と研究の両方をバランス良くこなし、尚且つ友人と遊びたいのが本音だ。