エターナル・フロンティア~前編~
第五話 それぞれの想い
清々しい朝の日差しが大地を照らし、今日という一日がはじまった。ソラは、相変わらずベッドの上で横になっている。彼は朝が苦手なので、日差しはソラにとっては無用のものだった。
その時、携帯電話が鳴った。このような時間帯に誰が掛けているのか。渋々ながら電話に出ると、朝から不快な声を聞いてしまう。声の主はカディオであったが、この時間帯に電話をしてくることは珍しい。何かが起こった――そう判断したソラは、電話の意図を聞く。
すると、ソラの表情が一変する。それは、馬鹿馬鹿しいと取れる内容であったからだ。この瞬間から、ソラは同情と容赦という単語を捨ててしまう。そして、思いっきり不快な声を発する。
「で、オレにどうしろと?」
長々と聞かされた台詞の後に続いたのは、ソラの短い言葉。無論、カディオからの返事はない。親身になって聞いてくれるのかと期待していたのか、ソラの冷たい反応が意外だったらしい。
互いの間に、沈黙が続く。
返事を返してこないカディオにソラは態とらしい溜息をつくと、電話を切るということを告げる。その言葉にカディオは慌てて口を開くと、どうしてほしいのか懸命に訴えていく。
『ただ、話を聞いてくれ』
「愚痴は困る」
『……そ、それに近いな』
「じゃあ、直接話せ」
『お、おう』
朝のひと時を奪い取った代償は、支払わなければいけない。だからソラは毒吐きに等しい言葉を発していき、カディオを威圧していく。予想外の攻撃に、カディオは簡単に怯んでしまう。そして素直に謝るが、言葉の隅々に感じられるのは「諦めていない」という単語であった。
カディオは時々、言葉と態度が一致しない時がある。それが彼の特徴であるが、困った特性といって。だからこそ、面と向かって話した方が内面を深く知ることができる。直接会うということを拒むと思っていたソラであったが、簡単に了承したということに疑念を抱く。
しかし、それ以上の追求をすることはしなかった。追求したら不憫で可哀想――そのような思いが強く働く。それに細かい事柄は、会った時に聞くことができる。ソラはカディオに関しての面倒ごとは嫌うが、互いは友人同士。困った時は、助け合わなければいけなかった。