エターナル・フロンティア~前編~

 そして、説明口調で内容を説明していく。

 その一言一言を、真剣な表情で聞いていくイリア。その姿は、完全にユアンを信頼しているものであった。


◇◆◇◆◇◆


 冷たい風が吹き抜ける。その風によって舞い上げられた髪を押さえながら、ソラは広い墓地を歩いていた。その後を続くカディオとの間に会話はなく、ただ黙々と歩き目的の場所に向かう。冬という季節の影響か、下草には元気がない。中には茶色に変色してしまい、枯れている草もあった。

 それを踏む度にカサっと音が聞こえ、無常とも空しさとも取れる何ともいえない寂しさがあった。見上げる空には、白い雲が浮かぶ。それらは強い風によって押し流れ、数分後には姿を消していた。これらの光景は、現代の情勢を表していた。人の心は冷え切り、そして茶色く変色してしまっている。

 墓参りは、滅多に行うものではない。中には葬式以降、訪れる者がいないという。だからこそ、定期的に訪れるソラは珍しい。それだけこの人物の思い出が深く、関係と絆は強い。

 ソラの墓参りの相手――それは、彼の友人であった。友人といっても、カディオとは違う。そう、墓の下に眠っているのは能力者だ。そして誰もが、若い年齢で全員亡くなっている。

「なあ、ソラ」

「何?」

 沈黙に耐え切れなかったカディオが、口を開く。しかし名前を呼ぶだけで、その後が続かない。墓地に広がる独特の雰囲気がそうさせるのだろう、日差しが高いというのに不気味さが漂う。

「質問なら、構わないよ」

「なら、聞く。お前の仲間って、どんな奴だった。別に、話したくなければ話さなくていい」

「何だ、わかったんだ」

「まあ、大体は」

「特に、目立つ人物じゃなかったよ」

「お前のようなタイプの人間か」

 勘がいい友人に、ソラは脱帽してしまう。だからこそ、カディオに隠し事はできない。それに隠す理由もなく、話しても構わなかった。しかし、少しだけ躊躇する。それは、話すのが怖かった。力を持って生まれた者は、どのように生まれどのような運命を辿るかわからない。
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