エターナル・フロンティア~前編~
「見かけによらす、苦労しているんだな」
「どういう意味だ?」
「俺がソラとはじめて会った時、育ちがいいお坊ちゃんだと思った。あの時は、品があったよ」
「今は、ないっていうのか?」
ソラの反論にカディオは、茶目っ気たっぷりに頷く。どのような家柄に誕生したところで、我が子が能力者とわかった途端、親はその子を切り離す。「恐ろしい」それだけの理由で――
能力者は、出生が不確かな者達が多い。それを考えると、ソラはいい方だ。父親も母親もわかっており、出生がシッカリとしている。それでも彼は喜ぶことはせず、悲しい表情を見せるだけ。
「カディオの両親は?」
「元気に、生きている」
「……両親は、大切にしろよ」
「父親は、確か……」
「死んだよ」
「……悪い」
「いや、いいよ」
しんみりとした話により、重い空気が漂う。カディオはどのように声を掛けていいのか悩むも、適当な言葉が思いつかない。両親が生きている身分としては、失った者の気持ちなど理解することはできない。それを理解できるといえば、それはソラが嫌う偽善者だろう。
カディオは、そのような存在になりたいとは思わない。もしなってしまったらソラとの関係が終わってしまい、ソラは独りとなってしまう。カディオは多くの仲間がいるからいいだろうが、ソラは違う。能力者「は、多くを求めることができない。だからこそ誰かが側に付き、支えなければいけない。
「止んだみたいだ」
「おっ! やはり、通り雨だ」
「冬の雨は、物悲しいよ」
その言葉に続き、二人は車の外に出た。大量に降った雨の影響で、気温は思った以上に下がっており、吐き出す息が白い。それ以上に、雲の隙間からこぼれる落ちる光の筋が美しかった。
白い日差しが、大地に降り注ぐ。それは雲と共にゆっくりと運ばれて行き、幾重にも重なりひとつの絵画のような光景を生み出す。ソラは何気なく天を仰ぐと、眩しい日差しを見つめた。日の出の日の入りは、違う一面を生み出す。多くの者は日の出を好むが、ソラは日の入りを好む。