エターナル・フロンティア~前編~
「で、乗っていくか」
「いえ、バイクがありますので」
「……面白くない」
「聞こえています」
「はははは、何のことかな」
「話したいのでしたら、構いません」
「いいのか?」
「内容によります」
業を煮やしたソラは、言葉を投げ付けた。刹那、クリスの瞳が怪しく光る。そして次の瞬間、浪々と語りだした。当初の語りは問題ないが、中盤に差し掛かるとソラは無表情になってしまう。
そして、聞き返した。
タツキが、何を行ったのか――
「ほ、本当ですか?」
「嘘を言うと思うか?」
「た、確かに……」
それは、幻聴ではない。そのことが判明した瞬間、ソラは後悔してしまう。クリスに乗せられ、聞いてしまった真実。その衝撃は、全身をナイフで抉られたに等しい。ソラは吐血寸前に陥り、胸元を押さえてしまう。それはいつもの発作とは異なり、精神的な苦痛は激しい。
タツキは、何故そのようなことを――
クリスから、明確な答えは得られない。何せ、相手はあのタツキ。その頭脳を理解できる人間は、まずいない。それに彼女の内面を知っている者は、理解したいとは思っていない。
「オレは、先に行きます」
「お、おい」
「何ですか?」
「一緒に――」
「これ以上、タツキのことはいいです。それがなければ考えてもいいですが、オレはバイクです」
「そ、そうだな」
「ということで、先に行きます」
タツキの過去を語っていて、気分が悪くなってしまった。当初は、ソラを車に乗せて永遠と語ろうと考えていた。しかし衝撃は、自身へと返って来た。そして、精神を深く抉っていく。それにより、車に乗せるということを諦めた。下手すれば、互いに自滅してしまう。