エターナル・フロンティア~前編~
「オレは、結婚式に行きます」
「誰の?」
「ハートラ博士です」
「お、俺?」
「いけませんか?」
「いや、嬉しいよ」
同僚の科学者の言葉と、ソラの言葉――クリスは、後者を選ぶ。決して、同僚が嫌いなわけではない。しかし語る言葉には重みがあり、それ以上に祝福してくれる。自身が不幸を背負っているので嫉妬を抱くのではないかと思ってしまうが、ソラはそのような人物ではない。
それは、タツキとクリスは認めている。勿論、カディオも一緒だ。だからこそ。普通に付き合っている。このように互いに料理を楽しみ、馬鹿騒ぎをしているのが何よりの証拠だ。
無論、ソラはこの生活を楽しんでいる。
そして、手放したくなかった。
ソラとクリスは楽しそうに料理を進め、その間タツキに構うことはしない。男同時の料理に、女は口出ししてほしくない。そのように言っているのか、二人は見えない壁を作り出している
その後、会食会は三時間続いた。
酒豪のタツキには酒が欠かせないらしく、途中で飲酒をはじめてしまう。それにより二人に絡み出し、日頃の愚痴や文句を言い続ける。相当ストレスが溜まっているのか、一気に発散していく。
しかし聞いている側はこれ以上迷惑なことはないが、二人は懸命に耐えていく。相手はタツキなので、反論を聞き入れてくれるわけがない。ソラとクリスはタツキの言葉が止まるのを待つしかないが、終了と同時に二人は倒れてしまう。互いの顔は顔面蒼白で、それほど殺傷能力が高い。
まさに、タツキは無敵の人物だ。
そう、向かう所敵なし。
そして彼女がいる限り、ソラの身は安全であった。
◇◆◇◆◇◆
この日、イリアは朝から慌しく動いていた。その理由として、大切な用事が待っていたからだ。ユアンと一緒に何処かに行くことができる――簡単に説明すればこのようなものであったが、イリアは今日という日が訪れるのを、首を長くして待ち続けやっとこの日を迎えた。