エターナル・フロンティア~前編~
頑張りたい。
一緒に研究したい。
その一身で、動く。
どうして遅刻してしまったのかは、その理由は話さない。無論、ユアンも聞こうとはしないが理由はわかっていた。今まで多くの女性を見てきたので、イリアの心の中を簡単に見抜いてしまう。それに表情で簡単に察することができるほど、イリアの心理状態は読み易い。
「それは、構わない」
「今日は、何処へ行くのでしょうか」
「以前、約束をしたことがあったと思うが、そのことを決めないといけない。仕事の関係で、遠くは無理だが」
「ラドック博士と一緒なら、何処でも構いません。皆も文句は言わず、同じことを言うでしょう」
「そうか……助かる」
今回は、イリアが無理を言っている。それをユアンが特別に叶えてくれるのだから、我儘を言うわけにはいかない。それにこれ以上我儘を言ったら嫌われてしまうと認識しているので、イリアは素直に受け入れていく。また、ユアンと一緒なら何処に行っても楽しいに違いない。
「続きは、車に乗って話そう。立ち話は、通行人の邪魔になってしまう。それに、行く所がある」
「それは?」
「内緒だ」
「怖い場所ですか」
「そのような場所、この、惑星(ほし)にはない」
「それなら……ラドック博士の言葉を信じます。ラドック博士は、信頼がある人物ですので」
「買い被りすぎた」
事実、それは本当のことであった。ユアンの信頼度は、予想以上のものがある。多くの、科学者(カイトス)は「ラドック博士の意見だから――」と信じてしまい、それだけの魅力を有していた。
「さあ、中へ」
「はい!」
以前と異なり今日は素直に乗車することができ、躊躇いというものは感じられない。今日という一日が、永遠に続けばいい。しかし時間は無限ではないので、だからこそ短い時間の間、精一杯に自分というものをアピールしていく。そして、ユアンの信頼を勝ち取らないといけない。