エターナル・フロンティア~前編~
「苦手?」
「体力は……低いです」
「普通、女性はそうだ」
「中には、強い方もいます」
「ランフォード君も、何れはそのようになるかもしれない。彼女達も、最初はか弱い女性だった」
「そうなのですか!」
新人の雑用は、多岐に渡る。勿論それに付いて行けない人物は、早めに転職を考えた方がいいと言われている。本格的に科学者として仕事をはじめた場合、雑用以上の厳しい仕事が待っている。
新人を適度に振るい落としていく。だから新人達は目的の場所に就職できたからといって、安心していたら痛い目に遭う。このことに関して厳しい現状と嘆く者も多いが、研究の内容が内容。簡単に構えていいものではないく、簡単に仕事をしたいのなら別の職を選ぶしかない。
イリアは、どうか……それは、今後の仕事の仕方で判断することができる。しかし、科学者の道を選択した。簡単に、弱音を吐いてはいけない。それに、彼女は「頑張る」と宣言している。
イリアは驚きの表情を浮かべてしまうも、それが決められた役割だと受け入れていく。だが、次の言葉にイリアは過敏に反応を示してしまう。これこそ、女性にしては一大事の問題だ。
「毎日、徹夜をやっている」
「……は、肌が」
「肌?」
「……荒れます」
「ああ、そうか」
「科学者として仕事をするのに、肌のことを気にしているのはおかしいですね。ですけど……」
「わかっている」
若い女性に限らず、一般的に彼女達は肌の肌理と張り心配してしまう。長く、若く美しい肌を保っていきたい。それは永遠の悩みであって、肌の手入れに時間と金を費やしていく。今イリアはエステに通ってはいないが、給料を得れば肌の手入れに金を投資したいと思っている。
一体、誰の為に綺麗になろうとしているのか――勿論、それは決まっていた。やはり好意を抱いている相手に、美しく見てもらいたいのが女心。イリアは、ポツリポツリと本音を語っていく。その意見にユアンは苦笑いを浮かべながら、女の逞しさを再認識するのだった。