エターナル・フロンティア~前編~
本当に、女性という生き物は――
勿論、ユアンの周囲に群がってくる女性が全ての価値観を示しているわけではないが、そのような人物ばかりが集まってくると、彼女達が女性の本質を表していると勘違いしてしまう。
それに、しつこいのは煩い。
正直、迷惑だった。
しかし、邪険に扱ってはいけない。女性の心は繊細で、簡単に壊れてしまうほど脆いという。それにより、取り扱いは十分に注意しないといけない。道具に等しい扱い方に、苦疲れてしまう。
だが、ユアンは笑顔を崩さない。
流石、カリスマ性が高い人物。外に表す部分を相手によって作り変えていくのは、お手の物。
それにより、イリアと普通に会話を続けている。
「ランフォード君は、優しい」
「そうですか!」
「ああ、そうだね」
「……嬉しいです」
「そうなのかな?」
「はい。ラドック博士にそのように言われますと、嬉しいです。その……褒められているようで」
ファンクラブに登録している会員の大半は、ユアンの言葉と態度に一喜一憂してしまう。それは過剰反応に思えなくもないが、彼女達はそれをおかしいと思ったことはない。そう、周囲に同じ人間が多く存在しているからだ。誰も、指摘しない。誰も、おかしいと思わない。
彼女達は、狂信者。
一種の宗教団体に等しい。
「そういえば、部下達も同じことを――」
「それは、当たり前です」
「そうなのか?」
「はい。皆様の憧れの人物ですので」
「僕は、偉くはない」
「いえ、立派です」
ユアンは、その意見を否定していた。確かに、多くの研究で成果を収めてきた。だが、それは部下達の力も関係していて、決して一人の力で物事を遂行したのではない。そのことを苦笑しつつ説明していくユアンはイリアに、本当は弱い人間だということを伝えていく。