エターナル・フロンティア~前編~
パーティーに用意する菓子を、ソラに教えてもらおうと考えていた。しかしソラを呼ぶとなると、その方法を取ることができなくなってしまう。彼は、料理に関して妥協を許さない。菓子を上手く作り、尚且つパーティーで並べる料理も上手く作ってしまう。そうなると――
嫌でも、比較されてしまう。
そして賛成した瞬間、料理下手が判明してしまう。それにより、イリアは必死に否定していった。
「ソラは、仕事が忙しいです」
「そうか」
「最近、メールのやり取りしかしていませんので。それでも、返信が遅かったりしますので」
「しかし、連絡は取り合っている」
「えっ! は、はい」
ソラとイリアは幼馴染同士。互いのことが気になっているので、定期的にメールのやり取りをしている。それを聞いたユアンは、両者の間に特別の物が存在していると思っている。何よりメールをしているのだから、そのように思って当たり前。その瞬間、顔が紅潮した。
「いい関係だと思うが」
「そ、そうでしょうか」
「ああ、似合う」
何処をどのように見て、そのように認識しているのか。ユアンの指摘に、イリアは更に頬を赤くする。そして何度も心の中で否定しているが、身体は正直。イリアは必死に否定を繰り返していることによって、体温が上がって来る。結果、ますますユアンは勘違いしてしまう。
「彼に、料理を作っているのか」
「いえ、それは……」
「時々、作ってあげるといい。優しい女性であったとしたら、それくらいしないといけない」
ユアンからの指摘に、イリアは頷くしかできない。だがソラの腕前を考えると、なかなかできない。逆に、料理を作ってほしいと思ってしまう。腕前が高い相手を満足させる料理は、どのようなものか。下手な料理を作っても批判と中傷は免れないので、それが怖かった。
物事は挫折と苦労の連続。ソラも最初から料理が上手かったわけではなく、ネット上に公開されているレシピを参考に独自のアレンジを加えていった。勿論それ以前に、料理の基礎を真剣に学んで努力し続けた。それが実を結び、今のプロの料理人クラスの腕前まで成長した。