エターナル・フロンティア~前編~
(まあ、暫くは遊んでいよう。いい玩具を、見つけたことだし)
フッと笑みを漏らすと、ユアンは携帯電話を助手席に置く。そして、車を発進させた。向かう場所は、自宅ではなく研究所。そう、山積みの仕事を片付けないといけなかった。それに、部下の仕事が何処まで進んでいるか把握したかった。特に、例の研究に関しては――
(何も知らない者は、気楽でいい)
それが、ユアンの本音。しかし、それが誰に対して向けられているのかは本人しか知らない。それだけユアンが抱えている真相は、どす黒い色彩に覆われていた。その中で唯一浮き出ているのか、気楽な者達。それこそユアンが最も嫌い、無知と罵倒する対象でもあった。