エターナル・フロンティア~前編~
「ソラ!」
『……頭に響く』
「ご、御免。ねえ、どうしたの? ソラの所に行きたいのだけど、ドアを開けてくれるかしら」
『ああ、わかった』
相手の具合が悪いのは、わかっている。だからといって、イリアが引き下がることはない。具合が悪いというのなら、看病したいもの。イリアは電話を握り締めると、ドアの前で行ったり来たり。
すると、扉が開いた。
「ソラ?」
「……入っていいよ」
「う、うん」
やはり、口調が悪い。その声音に、イリアの心臓が激しく鼓動してしまう。一体、彼の身に何が――イリアは誘われるように扉を潜ると、建物の中へ入っていく。その瞬間、ソラの顔色の悪さを知る。
青白いといより、真っ白に近い。イリアは瞬時に「危険」と判断すると、ソラを寝室へ連れて行く。
その時、再び衝撃を受けた。
床に点々としている血を発見したのだ。
「……ソラ」
「いつもの発作だ」
「発作って……知らないわ」
「……話していないから」
「そんな。話してよ」
ソラの強情な一面に、イリアは怒鳴りつけてしまう。突然の幼馴染の変貌にソラは目を丸くすると、素直に詫びの言葉を口にする。普段の彼であったら、間髪いれずに愚痴を言っている。
今、気分が落ち込んでいるのかイリアの言葉に反論する気力を持っていない。やはり、イリアの見方は正しかった。そして、瞬時に身体を動かす。ソラを、ベッドに寝かせたのだ。
「付き添うわ」
「いいよ」
嫌悪感たっぷりの表情を浮かべるが、ソラは内心イリアの世話になるのが恥ずかしかった。早く帰って欲しいと訴えていくが、イリアが聞き入れるわけがない。その証拠に、テキパキト物事を進めていく。最初に行うのは、床の掃除。そう、かなりの血が広がっていたからだ。