エターナル・フロンティア~前編~
イリアが、紅茶が注がれたティーカップをテーブルの上に置く。それと同時に、椅子に腰掛けるように進めた。無論、ソラが断る理由は無い。椅子に腰掛けると、紅茶を口に含んだ。
「美味しい」
「ティーパックよ」
「でも、美味しい」
「多分、値段が高いからかしら」
その言葉に、ソラは苦笑していた。イリアが、高価なティーパックを購入してくる。それが、信じられなかった。別にそれは悪い意味ではなく、高価な品物が彼女に似合わないのだ。
「あっ! 笑った」
「御免。でも、これはお礼を兼ねているの。ソラが作ってくれたシフォンケーキだけど、好評だったわ」
「そう、良かった」
「それで、お願いがあるの」
イリアの頼みごとに、一瞬身構えてしまう。それは一種の条件反射というべきか、思わず顔を凝視する。しかし今回は、悪い頼みごとではない。そう、シフォンケーキの作り方を教えてというもの。予想外の内容にソラは一度聞き返し、一方イリアは何度も言い続ける。
「本気?」
「本気よ」
「わかった。イリアがそう言うのなら、教えるよ。しかし、今日は駄目だ。ちょっと、疲れた」
「うん。ソラの具合は、わかっているわ。だから、紅茶を飲んで。これで、気分が良くなればいいけど」
喉が渇いていたので、紅茶は有難い。紅茶の温度は高かったが、ソラは一気飲み干していく。そして、二杯目を求めた。その言葉にイリアは、いそいそとポットを持ってくると、お湯を注ぎいれた。
「どうぞ」
「有難う」
流石に、淹れたばかりでは熱い。ソラは吐息で温度を下げつつ、一口・二口と飲んでいった。
ふとその時、イリアがシリアスな内容を口にする。内容が内容だった為に、ソラは目を丸くしてしまう。だが、相手を責めることはしない。寧ろ、そのように言われることをわかっていたのか、瞬時に冷静を装った。そして、イリアが語っていく言葉を静かに聞いていく。