エターナル・フロンティア~前編~

 タツキは、闇を恐れていた。

 しかし、取り込まれる前に抜け出した。

 果たして、イリアは――

 それを心配しているソラは、イリアの立場を危惧する。そして、深い闇に近付かないで欲しいと思う。

「なあ、イリア」

「何かしら」

 刹那、イリアの頬に生暖かい感触が生まれる。その感触にイリアは、瞬時にソラから離れた。

 そう、頬に口付けされたのだ。

 徐々に、顔が真っ赤に染まっていく。

 可愛らしい初の反応に、ソラは微笑を浮かべる。

 そして、小声で囁く。

 「有難う」と――

 ソラの心情は、イリアの耳に届かない。だからといって、不満の態度を見せることはしない。

 幸せな日々。

 それが続くことを願う。

 これこそ、ソラとイリアの関係に必要なものだった。
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