エターナル・フロンティア~前編~

 自分達にとって、子供は飾り。

 自身の立場を良くする為の道具。

 無論、考えてはいけない方向に思考が働いてしまう。だが両親の行動を見ていると、そう思ってしまう。

 黙々と、トーストを齧る。

 その間、会話は無い。

 イリアは大口でトーストを食べていくと、ミルクを飲み干す。その後、歯を磨きに向かった。

 早くアカデミーに行きたい。

 クラスメイトに会いたい。

 それらの感情が、イリアを突き動かす。

 イリアは椅子に置いてあったカバンを手に取ると、軽く両親に言葉を言い玄関から外へ出た。

 一般的に卒業式というものは、両親が参加することが多い。しかしイリアの両親は、卒業式に参加することはしない。それには、卒業式の後の開かれるパーティーが関係していた。

 両親が参加しても、一緒に帰宅はできない。それなら、最初から来ない方がいい。それがイリアの表面上の考えであったが、裏側は違う。本音の部分では、両親に来ないで欲しかった。

 今回、断った。

 勿論、両親は気付いていない。

 振り返り、自身が暮らしている家を見詰める。

 卒業後、憧れの場所に就職し、憧れの職業に就き学ぶ。それは、願ったり叶ったりであった。

 イリアの脳裏に、ひとつの内容が思い浮かぶ。科学者として本格的に仕事をはじめた場合、滅多に家に帰ることができない。遅い時間になってしまうと、交通機関を利用できなくなってしまうからだ。それなら、研究所の近くに建てられている賃貸マンションを利用してもいい。

 彼女自身、就職をしたので一人で暮らしたいと思っていた。その方が、両親に気兼ねしなくていいからだ。

 それに――

 仕事の他に、プライベートが縛られない。

 例の件から、イリアはソラの身体を心配している。また、血を吐いて倒れていないか。きちんと、食事をしているのか。一人で暮らしているので、過度に心配してしまう。それらが関係しイリアは一人暮らしを望むが、なかなか両親に切り出せない。そう、切っ掛けが掴めないのだ。
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