エターナル・フロンティア~前編~

 両親――特に、ダニエルが厳しい。

 だが、いつかは――

 イリアは、自分自身に気合を入れた。

 その時、携帯電話が鳴った。バイブ機能に設定していなかったので、周囲に着信音が響く。

 メールが、受信したのだ。

 イリアは慌てて携帯電話を取り出し、送信者の名前を見る。表示されていたのは、ソラの名前だった。

(何だろう)

 てっきり、時間を置いてメールを送ってくると思っていた。しかし、こんなに早くメールが送信されてきた。何かトラブルが発生したのか、それとも別の意味か――イリアは反射的に、文章を読む。


 今日、18時に会える。


 短い文章だった。

 だが、言いたいことはわかる。

 勿論、断る理由は無い。

 イリアは嬉しそうに微笑むと、了承の返事を送る。

 どのような理由で、ソラはメールを送ってきたのか。このような時、やけに妄想力が働く。

 口許が、徐々に緩んでいく。それは傍から見れば、怪しい表情。よって、行きかう人々が小声で囁く。彼等の声音が耳に入った瞬間、一瞬にして赤面してしまう。そして、逃げ出した。

 向かう場所は、駅。

 いい気分の中で、イリアは電車を来るのを待った。


◇◆◇◆◇◆


 イリアにメールを送信したソラは、携帯電話を仕舞う。薄暗い室内で、ソラはぐったりと項垂れている。まだ身体が本調子ではないのか、顔色が悪い。それは、青白ではなく真っ白だ。

 何度も、深呼吸を繰り返す。だからといって、それで気分が改善されることは無い。それどころか、更に気分が悪くなっていく感覚に陥る。その時、ソラの後方に人の気配が生まれた。相手は意図的に気配を消して近付いてきているので、ソラが気付くわけがなかった。
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