エターナル・フロンティア~前編~
奥深く、一般の人間が真意を読み解くのは難しい。
尚且つ、全て闇が覆っている。
ソラとユアンの関係は、それほど長くはない。それらは時間の概念で区切ることのできない、濃厚な内容が含まれている。残念なことに、ユアンが一番ソラの心情を理解していた。
幼馴染のイリア――
だが、本音の部分で踏み込めない。
よって、ユアンの方が有利だった。
「即答はいい」
時間は長く存在する。
別に、急ぐことでもない。
ユアンは肩を震わせ笑うと、何を思ってかソラの髪を掴んだ。
「昔のデータを見た。以前は、黒い髪をしていたそうじゃないか。これも、僕達の所為か……」
「……ええ」
「そうか」
「何を企む――」
しかし、それ以上の言葉は続かない。それは、ユアンが持っていた携帯電話が鳴ったからだ。呼び出しの合図。そう判断しているのか、ユアンは携帯電話に出ることはしなかった。
「いいのですか?」
「構わない。いつものことだ」
「誰かを殺す」
「そう、何人も殺してはいない」
「その言い方ですと、殺していると言っているようなものですよ。数は、問題ではないです」
手厳しい意見であったが、的を射ている。人間が人間を殺していい理由など、どの惑星(ほし)へ行こうが存在しない。
宗教的観点を絡めると、更にそれが強くなる。
だが、人間は宗教を捻じ曲げる。
神は、生き物を平等に生み出した。
力を持つ者は異端。
神が見放した生き物。その為、殺していい。
現在、宗教は正しい意味での宗教の役割を果してはいない。ただ、人間が物事を行う時に使用される都合のいい道具。時代と共に変化し、今に至る。それに人間が宇宙に出た瞬間「神」という存在は曖昧となった。