エターナル・フロンティア~前編~
「貴方という方は……」
「何かあったら、救ってあげるよ」
これが、ユアンの本当の目的。タダで、ソラを救ったりはしない。彼は、己が作製した薬の効果を確かめたかった。
たまたま、ソラがそれに選ばれた。それに「幼馴染」の言葉に出すと、簡単に折れてしまう。
弱点を知り尽くしているからこそ、可能な作戦でもあった。
渋々ユアンから薬を受け取ると、一気に飲み干す。即効性が高い薬なのか、喉が焼けるように痛い。
毒薬――
動揺が走る。
ソラは胸元を押さえると、空気を求めるように喘ぐ。しかし、なかなか上手く空気が吸えない。
刹那、心臓が激しく鼓動する。
そして、背中から魂が抜ける気分に陥る。
思考が止まる。
視界が霞む。
言葉が出ない。
身体が支えられないので、前のめりに倒れてしまう。だが床にぶつかる前に、ユアンに救われた。
「効果は高いようだ」
自身が作った薬が成功した。そのことにユアンは、不適な笑みを作っている。所詮、ソラの身体は二の次。
成功か失敗。
それしか、考えられない。
だからといって、本格的に非情になることはない。ユアンは救い出したソラを軽々と担ぎ上げると、出入り口へ向かう。そして扉を開こうとした瞬間、いきなり目の前の扉が開いた。
「し、失礼しました」
「いや、いい」
「その……どうしたのでしょうか」
「何、野暮用だ」
しかしそのように言われても、簡単に受け入れることはできない。ユアンが担いでいるのは、先程まで科学者が玩具にしていた人物。そしてユアンに質問していたのは、その科学者。
だが、相手はユアン。