エターナル・フロンティア~前編~

「オレって、そういう立場なんだ」

「そういう意味で、言ったんじゃないわ……それでも、そういう意味で捉えてしまうのかしら」

「じゃあ、どういう意味?」

「……腐れ縁」

 意外すぎる発言に、ソラは声を上げて笑い出す。まさかイリアの口から“腐れ縁”という言葉が出るとは予想もできず、まさに不意の攻撃。笑いのツボに入ってしまったのかゲラゲラと笑っているソラに、イリアは赤面しながら頬を膨らますと笑わないで欲しいと頼む。

「もう、ソラったら」

「いや、悪い。イリアは、そのように思っていたのか。いや、意外だよ。普通の幼馴染関係だと思っていた」

「だって、小さい頃から一緒に遊んだりしていたもの。こういうのって、腐れ縁って言うんでしょ?」

「そう言われれば、そうなるけど……幼馴染じゃ、不満なんだ。別に、オレはそれでもいいけど」

「どういう意味?」

「あれ、違ったのかな」

 その意味深い言い方に、イリアは言葉を詰まらす。ソラに言われるまで、そのようなことは考えなかった。幼い頃からソラと常に一緒で、二人で何処かへ遊びに行ったこともあった。成長するにつれ会うそのような機会は少なくなってしまったが、連絡は取り合っている。

「不満じゃないけど……」

「幼馴染も腐れ縁も、同じようなものだよ。一緒にいる時間は、長かったんだし。それに……」

「それに?」

「聞かなくても、わかっているだろ?」

「う、うん」

「そういうことだ」

「そうだけど……」

「卒業したら、夢を果すのだろ? それなら、尚更じゃないか。オレのせいで夢を諦められたら、正直困る」

 それに対しイリアは、頷くことしかできなかった。ソラの言葉が相当堪えたのだろう、表情は先程と異なり青白く血色が感じられない。落ち込んでいる――いや、この場合は完璧に沈み込んでいるというべきだろうか。それに心苦しく、複雑な立場が辛くて仕方がない。
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