エターナル・フロンティア~前編~

「自分で」

「お金が……」

「そのことだけど、簡単に金を貸さない。友人同士というが、それは同じだ。相手は、返してくれるのか? 返してくれないというのなら、尚更だよ。金に関してのトラブルは多い」

「う、うん」

「オレの知り合いも、痛い目に遭っている」

 ソラは心理学を学んだわけではないので、詳しい分析はできない。しかし今までのことを総合的に纏めると、期待していると馬鹿を見る。そもそも、相手は支払う気がないのだから仕方がない。

 イリアは、ソラの追求に何も言えなかった。言って自分が有利になるというのなら話すだろうが、逆に立場は不利になってしまう。つまり「イリアがシッカリしていれば――」という当たり前のことを言われてしまう。無論、イリアはそのことは言われなくともわかっていた。

「二度と、貸すなよ」

「うん」

「金に困って、オレに泣きつくなよ」

「……わかったわ」

 ソラの厳しい言葉に「本当の友人は、どのような存在なのか」と、イリアは真剣に考えてしまう。何でも話せ、相談に乗ってくれる存在か。それとも、切磋琢磨できるライバルのようなものか。その両方が合わさった存在とも思えるが、そのあたりは実に難しいものだ。

 相手が「友人」と言ったとしても、それが真実とは限らない。表面上の関係もあれば、深い意味での関係もある。イリアに友人と言っている二人は前者にあたり、真の友人とはとても思えない。

 なら、真の友人とはどういう存在なのか。残念ながらその答えに相応しい人物は、イリアは一度も会ったことはない。それだけ友人関係は難しいのだと、痛いほど思い知らされる。

 ふと、あの二人の顔が脳裏を過ぎる。何故この顔が浮かんできたのかわからないが、思わず嫌悪感たっぷりの表情を作ってしまう。イリアは握っていたペットボトルの蓋を開けると、残りを一気に飲み干す。悔しい、悲しい、切ない――それらが混じった感情が、浮かんでは消える。

 唐突な行動に、ソラは唖然となってしまう。何があったのか尋ねるが、イリアは何も言うことはしなかった。ただ一度に大量の紅茶を飲み干したことにより、苦しそうに肩で息をする。そんなイリアの姿を見たソラは居た堪れなくなり、同じ質問を繰り返す。無論、答えを知る為に――
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