エターナル・フロンティア~前編~
今日は、天気がいい。こういう日に出掛けると、気持ちがいいだろう。しかし仕事に忙殺されているので、何処かに出掛けるということはできない。その為、コーヒーを飲み景色を楽しむ。
「さて、誰からか」
コーヒーを飲み終えるとパソコンの前に行き、メールの送信者を確かめる。刹那、表情が強張った。
「……コーネリアス博士」
その者は、ユアンが苦手としている人物だった。
まさか、この人物からメールが送信されてくるとは思わなかったのか、苦虫を噛み潰したような表情を作りつつ、文章を黙読していった。
書かれている内容に、ピクっと眉が動いた。と言って、激しく動揺しているわけでもない。
今夜、話をしたい。
コーネリアスと呼ぶ人物からの誘いに、躊躇いがないわけでもない。しかし、相手は自分より地位が高い。
それをひけらかし使用する人物ではないが、油断すると何があるかわかったものではない。ユアンはキーボードを打ち、返信のメールを送っていく。誘いを受けるという内容を入れて。
「何故、今……」
メールが送られてくる理由がわからないユアンは、珍しく悩む。どちらかといえば、苦手の人物。
要は、頭が上がらないのだ。
名前は、レナ・コーネリアス。年齢は、今年で75。表舞台から姿を消したが、いまだに影響力が強い。
それに能力研究の第一人者として有名で、ユアンは苦手としているが尊敬もしていた。休憩の後、仕事を再開する予定だった。だが、レナ・コーネリアスの誘いが頭を支配し、仕事にならなかった。
「……まったく」
深く椅子に腰掛け直すと、ガシガシと頭皮を掻く。これくらいで仕事に手がつかないのは、普段のユアンらしくはない。彼は両手でパンパンと頬を叩き気合を入れると、仕事を行なう。
結果が全ての世界。勿論、ユアンも知っている。だからこそ、一時期の間レナ・コーネリアスの残像を振り払い、仕事をしていく。部屋の中に、ペシペシとキーボードを叩く音が響く。
その時、何かいい理論を思い付いたのか、先程より早い速度でキーボードを打っていった。しかし実験でそれを証明したわけではないので、公に公表できる内容ではなかった。