エターナル・フロンティア~前編~
異なる性格同士、何事もなく普通に付き合っていられる時点で凄いことだが、逆に両極端の性格がいいのだろう。フィーリングが合う方がいいという意見もあるが、両方とも同じだと何だか面白くない。物事を決めることに関しては楽でいいが、付き合いが単調になってしまう。
良い面と悪い面をお互いに補いながら付き合っていく関係なら、長く続けていけるだろう。現に愚痴を言っても、嫌いという感情が言葉の表面に表れることはない。寧ろ、相手の性格を楽しんでいるように思え、互いにいい関係を築いているのだろうとイリアは羨ましく思う。
「二人だけの内緒」
「内緒は内緒だが、何か意味があるいい方だけど……」
「別にいいじゃない。特に、深い意味はないんだし。あれ? 深い意味があった方がいいかしら?」
「べ、別に」
ソラの反応が面白かったのか、イリアは口許に手を当てクスクスと笑う。それに彼女は相手がとのような意味として取ったのかは、何となくわかった。それに対してソラは恥ずかしいのか、決してイリアと視線を合わせようとはしない。真っ直ぐ前を見据え、運転に集中する。
「ソラって、そういうところがあるんだ」
「煩いぞ」
「御免なさい」
「まったく……」
必死に照れ隠しをしているらしく、それ以上は何も喋ろうとはしない。イリアは再度クスクスと笑うと、シートに身を預ける。それにこれ以上追求したら可哀想で、尚且つ機嫌を損ねたら途中で車を降ろされてしまうので、家に到着するまでイリアは沈黙を続けていた。
◇◆◇◆◇◆
予定していた時刻より早く、目的の場所へと到着した。流石に家の前に止めるのは憚られるので、数メートル手前で車を止める。此処は数年前から開発が進められている住宅地で、其処にイリアは暮らしている。街並みはとても美しく、高級な雰囲気が感じられる場所だ。
友人達に言わせれば、優雅で上品な家にイリアは暮らしている。だがそのような生活ができるのは父親が科学者(カイトス)という特殊な職種で働いている為であり、好き好んで優雅で上品な家に暮らしているわけではない。また有り余るほどお金があるわけではなく、現にイリアは金欠だ。