エターナル・フロンティア~前編~

「……電話したいって」

『コーネリアス博士が?』

「うん」

「そう……か」

 先程と違い、ソラは動揺しなかった。素直に受け止められたというのが主な理由であり、彼自身も久し振りに「会いたい」という気持ちがないわけでもなかったからだ。だからこそ、受け入れる。

「いいの?」

『ああ、悪い人じゃないから』

「ちょっとしか会っていないけど、私もそう思ったわ。うん。とっても優しいお婆さんだったわ……」

 いい第一印象を抱いたのだろう、イリアはレナを信頼する。それに対し、ソラは何も言うことはしなかった。

 彼にしてみれば、ユアンよりレナの方がいいと考え、彼女を慕っていれば問題ないと思う。何処かホッとしたのか、ソラはクスクスと笑い出す。そして「いい人に出会えた」と、囁くように言った。

「女の人に縁があるのかな」

『女? ああ、タツキか』

「そう。タツキさんも、いい人」

『縁は、大切にしないと』

 人は、出会いによって変化していくという。ソラもイリアも、互いに出会ったことにより運命が変わったといってもいい。それを言葉に出すことはしないが、二人ともそれはわかっていた。

 だからこそ定期的に電話を交わし、時折会う。

 そして今日も、主となる話が終わった後、二人は長く日頃の出来事を交え会話を楽しむのであった。
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