エターナル・フロンティア~前編~
「今日は、一日暇かしら」
「はい」
「私と、買い物に行きましょう」
「えっ!? 話は……」
レナの「話をしたい」という理由で、公園にやって来た。しかし、途中で予定が変更してしまう。
一瞬、戸惑う。
だが「行きたい」という気持ちが、ないわけでもない。相手が別人であったら、何故買い物に行くか尋ねていた。レナという人物が特別なのだろう、先程まで涙を流していたソラは無言で頷く。
「……有難う」
「いえ、買い物は好きです」
「良かったわ」
レナはそのように言うが、ソラの言葉には嘘が含まれている。買い物が好きなのはイリアやカディオで、ソラの場合は「普通」といっていい。勿論、レナはソラの感情を顔色から瞬時に見抜く。
しかし、彼女はその点を指摘しない。ただ、嬉しそうに微笑み「行きましょう」と、言うのだった。
「何処へ行きますか?」
「そうね……朝食は?」
「食べてはいません」
「なら、朝食を食べに」
「その、朝食は……」
朝が苦手のソラにとって、朝食は食べない方が多い。身体が受け付けないというか、食べる習慣がないのだ。父親が生きていた頃は、きちんと食事を食べていた。だが一人で暮らしはじめると、食事の回数が減っていく。今では、昼食と夕食の二回だけになってしまっている。
それを聞いたレナは、提案を変更しようという。此処で無理に食事をしても、楽しくないからだ。
「あっ! いえ……」
「何?」
「行きます」
心理的に断ることに罪悪感を抱いたのか、ソラは朝食を一緒に食べに行くという。普段は食事をしていないが、胃に優しい軽いものなら大丈夫という。その発言に、レナは本当に大丈夫か尋ねる。無理矢理連れて行ってしまうと感じたのか、少し困ったような表情を作っていた。