エターナル・フロンティア~前編~
「そんなことはないです。本当に、行きたいと思ったのです。たまには、食べませんといけませんから」
これは、半分が本当で半分が嘘だった。それに今日は、いつもと違い体調がいい。朝食を食べて、身体が拒絶反応を表すことはないだろう。また、レナと食事した経験がないので、たまにはいいと思う。その気持ちが「レナと一緒に……」ということを選択させたのだった。
「……有難う」
「いえ」
昔から、ソラは優しかった。その優しさが、彼を動かしているのだろう。レナは、囁く声音で礼を言う。そしてベンチから腰を上げると、肩を並べるようにして公園から出て行くのだった。
◇◆◇◆◇◆
どの店がいい?
その質問に対しソラは、店の選択はレナに任せることにした。どちらかというと、ソラは店を選ぶのが得意の方ではないので、レナが選んで案内してくれた方が、有難かったのだ。
レナが選んだのは、お気に入りのオープンカフェの店。開店したばかりということで、客はソラとレナを含めて四人しかいなかった。全体的に、落ち着いた雰囲気のオープンカフェ。
古めかしい部分もあったが、これはこれで味わいがあっていい。この雰囲気に、ソラはいい店に案内してくれたレナに感謝する。それだけ、この店の外観と雰囲気を気に入ったのだった。一番いい部分は、落ち着いた色彩で統一しているところか。どうも、ゴテゴテした色彩は目に悪い。
白い丸テーブルに、同じ色の椅子。それに、それぞれのテーブルには日差しを遮る傘が設置されており、観葉植物が大量に置かれていた。また、このオープンカフェは裏通りにあるので人目をあまり気にしなくてもいいという部分が、レナが気に入っているところらしい。
確かに、行き交う人々に食事をしているところを見られるのは、正直恥ずかしい。下手すると、食べた気がしない。しかし、この場所ではその心配がないので、落ち着いて食事ができるという。
その意見に同調するように軽く頷き返すと、ソラはテーブルの上に置かれているメニューを手に取り、書かれている料理の名前と添付されている写真を眺めはじめる。軽い食事といえば、野菜をたっぷり使用したスープだろうか。栄養面を考えると、これが一番であった。