エターナル・フロンティア~前編~
特に、小型や大型より中型が理想という。その理由として、抱き締めるのにいい感じだからだ。
細かく理想の犬について語っていくソラに、レナは温かい視線を送ると同時に、相当犬が好きと知る。
これだけ犬が好きなら、動物園に行くよりペットが売られている店に行った方がいいのではないかと思い、ソラに犬がいる場所に行った方がいいか尋ねる。しかしその質問にソラは、頭を振った。
犬を見たいのなら、ネットで画像検索も可能だ。それに、動画も見ることができる。だから今回は、動物園の方を優先したいらしい。何より、動物園には珍しい生き物が飼育されているからだ。
「有難う」
「お礼は、いいです。今回は、婆ちゃんの孫だから。だから、今日は婆ちゃんの願いを叶えないと」
ソラの優しさに、レナは心の中で礼を言う。それだけ、嬉しかったのだ。また、本当に孫が出来た気分になる。その後レナは残っていたモーニングセットを綺麗に食べ終えると、ソラの分の料金も含め会計を済ませる。そして公共の乗り物を使用し、仲良く動物園に行くのだった。
◇◆◇◆◇◆
動物園は、最寄りの駅から徒歩7分の距離にあった。その為、構内から出ると目の前に、動物園の出入り口が小さく見ることができる。今日は平日なので多くの人を予想していなかったが、駅前は人で溢れ幼稚園の団体の姿も見て取れた。どうやら、遠足で来ているらしい。
ソラとレナは舗装されている道を歩き、動物園の出入り口へ行く。すると、其処も人が溢れていた。
「料金は、オレが」
「いいわよ」
「孫に支払ってもらうのも、いいと思います」
真面目そのものの表情と、キビっとした口調にレナは折れることにした。レナが折れてくれたことにソラは、財布から一枚のカードを取り出すと、設置されている機械の中に入れ入場券を購入した。
機械の中か出てきたのは、小さい二枚の硬い紙。これが、動物園の入場切符だ。ソラは一枚の入場券をレナに手渡すと、並んで動物園の敷地へ入って行くのだった。その瞬間、動物園独特の雰囲気がソラとレナを包み込む。そして、元気よくはしゃぐ子供の声が聞こえてきた。