エターナル・フロンティア~前編~
現在ネットを利用すれば、簡単に様々な生き物を見ることが可能だが、やはり自分の目で生きている生き物を見るのが一番。何より、迫力が違う。そのようなこともあり、人類が宇宙に出る時代になっても動物園は潰れることなく多くの来場者を獲得しているのだった。
その時、幼稚園児の団体が大量に門を潜って敷地内に入って来た。どうやらこの園児達は、駅前で集合していた者達のようだ。三人の保育士が、懸命に園児達に指示を出している。
しかしこの時期の子供は、無邪気で人の言うことを素直に聞かないもの。その証拠に、数人の園児が団体行動を乱していた。と同時に、指示を出していた保育士が逃げ出した園児を捕まえに行く。
目の前で繰り広げられている光景に、ソラはクスっと笑ってしまう。そして、ポツリと感想を言っていた。
「大変ですね」
「小さい子供は、こういうものよ」
「なら、オレも……」
「そうだったの?」
「自分で自分の評価は、難しく……」
「でも、今は真面目よ。だから、昔も真面目だったのかもしれないわね。ソラ君は、偉いわ」
「周囲の評価が高いだけで……」
「本当と思うわ」
その言葉にソラは、照れ笑いを作る。まさかレナに、このように褒められるとは思わなかった。
照れを隠すようにソラは視線を横に向けると、ポリポリと頬と頭皮を掻きつつ話をもとに戻すことにした。どうやらこれ以上この話をしていると、全身がこぞばゆくなっていくからだ。
「婆ちゃんは、どの動物を見たい?」
「そうね……肉食系かしら」
「婆ちゃんは、そういう系の動物が好きなのか」
「そういうわけではないのよ。動物園といったら、そういう動物が人気と聞いたことがあるの」
「うん。確かに」
その言葉が証明するように、肉食系の動物が飼育されている建物の前には、多くの人間が集まっている。動物園に来たのなら、生で迫力がある生き物を見ないと損だ――と言いたいのか、騒いでいた幼稚園児達も保育士に連れられ肉食系の動物がいる建物へ駆け出していた。