エターナル・フロンティア~前編~
猛禽類の外見は、実にかっこいい。その反面、獰猛というイメージが付き纏う。だからこそ、夢で終わる。
犬と同様に、猛禽類に付いて熱く語っていく。冷静な一面が強いソラが、このように熱く語るのだから相当好きなのだろう。幼い子供のように瞳を輝かせているソラにレナは、温かい視線を送った。
「あっ! す、すみません」
「いいのよ。そうね……それだけ犬が好きというのなら、私が一匹可愛い犬をプレゼントするわ」
「いいですよ。婆ちゃんに、其処までしてくれるのは……何と言うか、恥ずかしかったりします」
「遠慮しなくていいわ」
その言葉にソラは明後日の方向に視線を向け、素直に犬をプレゼントしてもらうかどうか悩み出す。
といって、上手く育てられるか――
願望が強くても、それに伴う努力ができるか問題だった。しかし、欲しいというのが本音だ。
だが現在の科学力を考えれば、血の通った生き物を飼育しなくてもいい。現にタツキが、機械の犬を飼育している。
一人暮らしでシッカリと育てる自信がないのなら、此方を選べばいいのだが、ソラは血の通った生き物の方を選択する。彼曰く「成長の過程を観察したい」と、思っているからだ。
「考えておきます」
「いい返事を待っているわ」
「わかりました。あっ! 婆ちゃん。足下に、小さいモコモコっとした生き物が顔を出している」
「本当。子供ね」
「小さい頃って、どんな生き物も可愛いな」
生まれたばかりなのか、小さい生き物はソラが言ったように全身がふわふわとした長く柔らかい毛に覆われていた。その為、身体を小さくすると、遠目では毛玉が転がっているような錯覚を覚える。
また寝起きなのか、何度も欠伸を繰り返し前足で顔を撫でる。そして、親に甘えるように身体を摺り寄せた。
その動作ひとつひとつが、実に愛らしい。だがこの子供も成長すると、凶暴性が高い肉食系の動物へ変化するのだから驚きである。ソラは暫く目の前でコロコロと回転している生き物を見詰めていると、無意識に名前のような単語を発する。勿論、レナも聞き覚えはない。