エターナル・フロンティア~前編~
そして、安らげる。
声と共に思い出すのは、何もない白い空間。
光を反射させ眩しいぐらいに輝き、その声の主が近くにいる。
手を伸ばしその人に触れようとするが、触れることはできない。まるで、遠くにいるような感じだ。
顔は、わからない。光が眩し過ぎて。
でも、オレは貴女を知っているような気がする。
何処で出会ったのかは、その記憶は幻のようだ。
名を求めようとすると、消えてしまう。
何故、このようなことを思い出すのか。
それは、今もってわからない。
ただ、無性に会いたい。
それが、儚い願いであろうと。
貴女の正体を知りたい。
それが、夢だから――
「ソラ! どうしたの?」
若い女の声に、意識が戻る。慌てて周囲を見回すと、心配そうに声を掛けてくるイリアが視界に飛び込む。気付かない内に意識が違う世界で飛んでいたらしいが、それにしても“あれ”を思い出す度に懐かしさが込み上げてくる。
「本当に、大丈夫?」
「御免。考えごとをしていて」
「やっぱり、疲れているんじゃない。休んだ方がいいって」
「一週間休暇を取ったから、ゆっくりしているよ。それと旅行に付いていくってやつ、行かないと駄目か?」
友人のメールを閉じると、昨日イリアが送信したメールを開く。書かれている文面を黙視しつつ、言葉を掛ける。自分の利益優先とも取れる文面であったが、観光目的ならいいだろう。しかし、内容が悪い。
「一緒に行きたいな。でも、忙しそうだし。できたらお願い」
「いきなり休みは取れないから。それに、金ないだろ? 金欠で迎えを呼んだのは、何処の誰だっけ?」
「だから、ソラと一緒に行きたいと思っているの」
イリアにとって、最大の難関は卒論である。これを提出し、合格を貰わなければ卒業できない。それはお金の問題ではなくこの先の人生が掛かっており、留年になってしまったら恥ずかしくて外にも出られない。“科学者を親に持つ娘がアカデミーを留年した”それは恰好の笑いものになってしまう。