ラズベリー
「だ、誰ですか」
おどおどしながら訊ねてみる。
でも返事が無い。
「は、は、早く出て来なさいよ!」
英理が空手のポーズで構えている。
ガサガサッと葉が揺れて影が現れた。
「「きゃあぁぁぁーーー!!!」」
とにかく叫んで、叫んで、叫んだ。
ついに人が現れた。
茂みからたくさんの葉っぱをつけて出て来たのはなんと………!
白鳥 満月〈シラトリ ミツキ〉様だった。
白鳥 満月様は才色兼備で有名で和輝様と同学の2年生だ。
噂を知らない人はいないというほどの方だ。
「ハァー。痛かったなぁ」
彼女は凛々しく美しい。
見れば見るほど自分が哀れに見えてくるほどだ。
そう言いながら、パンパンと付いている葉っぱを手で払っていた。
(あっ!まつ毛長っ!)
「えっと、初めましてかな。練習の邪魔をしたみたいでごめんなさいね」
「あ、いえ。申し訳ありませんでした」