ラズベリー
そして、庭園に戻った2人。
身体が火照り、繋いでいた手は軽く汗ばんでいた。
「ふたりとも遅い!」
「早く始めるよ!」
「うん。よし、みんながんばろ!」
誰も知らない秘密の会話。
2人だけの秘密の約束。
かけがえのない空間だった。
2人の関係が少しずつ少しずつ縮まっていたんだ。
そのことを、今はまだ誰も気付いていなかった。
私が初めて感じたこの想い。
でも、この想いが何なのか分からなかった。
家族とは違う不思議な感覚。
それでも今は、何も考えられなかった。
でも、私にとって今思えばこのときが幸せだったのかも知れない。
…ごめんなさい。
……優輝、ごめんなさい。