ラズベリー
「そして、自分もです。コーディネートはあなた達次第です。では、スタート!」
合図と共に始まった。
(まずは相手探しか。)
相手探しはその人の好みやタイプ、似合うかどうかも全て含まれるのだ。
次々に相手を見つけていく。
葵はもちろん和輝様がパートナーだった。
麻衣と静香はそれぞれご主人様に決定していた。
英理は満月様に指名していた。
他の子たちもどんどんと決まっていく。
早く見つけたほうがもちろん有利だ。
残りの人の数も少なくなる一方だった。
「すみませんが、お願いします。」
美怜が、頭を下げるが誰も振り向こうとさえしてくれなかった。
(ど、どうしよう。)
(美怜…)
誰にも相手にされない美怜を英理は黙って見守るしか出来なかった。
無様な醜態をさらす美怜を葵は横目で見て笑っていた。
ハートクラスの葵の取り巻きたちが仕組んだことだったのだ。
(フン。まさか私の子分が
してくれたなんてね。)
こんなことしなくても葵の勝利は確実のものだ。
でも、普通に勝っても面白くないもの。
美怜は誰にも相手にもされない。
気が付けば、もうパートナーとなる人物も残っていなかった。
このままだったら失格になってしまう。
英理や麻衣はそんな彼女を見ても、助けられない。
これは彼女自身が乗り越えないとならないから…。
((ごめん……。))